研究室(=ラボ)で育つ(=グロウン)ダイヤモンドを意味するラボグロウンダイヤモンド。欧米をはじめ、各国で注目を浴びる、この新たなダイヤモンドに関して徹底解説します。

ラボグロウンダイヤモンドは一般的なダイヤモンドと化学組成が同じ

ラボグロウンダイヤモンドとは、工場内の電気機械で生成されるダイヤモンドです。地中から採掘された一般的なダイヤモンドと生成される過程は異なりますが、化学組成が同じです。
そのため宝石世界的な鑑定機関であるGIA(米国宝石学会)からも鑑定書が与えられており、同一の物質として証明されています。ダイヤモンドの類似石というわけではなく、正真正銘のダイヤモンドなのです。

 

ラボグロウンダイヤモンドと合成ダイヤモンドの違い

これまでもダイヤモンドには、合成(人工)ダイヤモンドが存在してきました。
ラボグロウンダイヤモンドは、これまでの合成(人工)ダイヤモンドとは異なります

 

合成ダイヤモンドとの違いは元素の数

「合成ダイヤモンド」は、2種類以上の元素から作られた化合物です。しかしラボグロウンダイヤモンドは天然のダイヤモンドと同じく、純粋に炭素のみで生成されています。一種類の元素からできていることから、機械で作られているとは言っても、一般的な意味での合成ダイヤモンドという表現は当てはまらないのです。

 

ラボグロウンダイヤモンドは一般的な人工ダイヤモンドとは言えない

ラボグロウンダイヤモンドは、自然が生み出したのではなく、人の手によって生み出されたという意味ではそう言えます。しかし、工場の機械で生成されるとは言っても、それは天然ダイヤモンドが生み出されるのと同じ環境を機械で作り出しているということです。
例えば、アマゾンの熱帯雨林で育った蘭と温室で育てられた蘭は、本質的には同じです。人手がかかった蘭であるからと言って、それは造花だということにはなりません。それと同じく、ラボグロウンダイヤモンドは人工的に整えられた環境から生成されるとは言え、地中から採掘された天然ダイヤモンドと同質のものです。そのため、一般的な意味合いとしての人工ダイヤモンドとは言えないでしょう。

 

ラボグロウンダイヤモンドは1980年以降に注目されはじめた

ラボグロウンダイヤモンドは1980年以降に注目されはじめた
ラボグロウンダイヤモンドは1950年に生まれ、長く工業用ダイヤモンドとして活用されてきました。硬度が高いことやその性質を生かし、ドリルやシャープナー、ヒートシンク、磁気センサーとして用いられてきました。
1980年代までは研究段階で、装飾用としての価値はほとんど認められていませんでしたが、近年質が良くなっていることから注目されてきました。天然ダイヤモンドを販売している宝石業界からは、既存のビジネスモデルに影響を与え得るということで敵視されてきましたが、だんだんと市場に認められるようになっています。

 

市場で注目を集める理由はGIAからの鑑定書

ラボグロウンダイヤモンドの市場価値が上がった理由の一つは、GIA(米国宝石学会)から鑑定書が与えられるようになったことです。鑑定書は、GIA日本語ホームページでも確認することができます。
しかし「合成ダイヤモンド(英語表記:SYNTHETIC DIAMONDS)」というくくりに含められているため、消費者からは見分けがつきにくくなっています。新たに「ラボグロウンダイヤモンド(英語表記:LAB GROWN DIAMONDS)」というカテゴリが設定され、その名称と正確な情報を広めることが、業界の今後の課題と言えるでしょう。
しかしながら、GIAの鑑定書にはラボグロウンダイヤモンドと表示されるようになっており、きちんと読めば他の合成ダイヤモンドと見分けることができます。また鑑定自体は天然であっても合成であっても、同じ規準に沿った厳格なグレーディングが行なわれます。さらに、最近になってFTC(連邦取引委員会)のジュエリー指針が変更され、ダイヤモンドの定義の中にラボグロウンダイヤモンドが含まれるようになったのは、大きな進歩と言えるでしょう。

 

ラボグロウンダイヤモンドの質や特徴について

地中から採掘される既存のダイヤモンドのうち98%は不純物を含んでおり、価値が低いものです。2%は純粋で価値が高いわけですが、当然値段は高くなります。
しかしラボグロウンダイヤモンドは、純粋なうえに天然ものと比べて安価に生成し、販売することができます。ラボグロウンダイヤモンドは全体として、天然ダイヤモンドの中レベル以上のものと同等の輝きがあります。研摩後なら、ほとんど見分けがつかなくなるでしょう。

 

ラボグロウンダイヤモンドの価値が下がることはない

ラボグロウンダイヤモンドの価値が下がることはない
地中から採掘された天然のダイヤモンドと本質的に同じであるラボグロウンダイヤモンドですが、研究所で均一なコピーを大量生産するわけではありません。現在の技術では、生成途中で失敗することもあります。
また一つ作るのにも時間とコストがかかり、天然ダイヤモンドに匹敵する輝きを放つ美しさを実現するのは、簡単なことではないのです。そのため、ラボグロウンダイヤモンドが次々に市場に出回ってダイヤモンドの希少性が損なわれるという心配はありません

 

価格は天然ダイヤモンドの約半分

輝きはほぼ同じで見分けがつきにくいものですが、ラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドの約半分の価格で取引されています。つまり同じ値段を支払うのであれば、天然ダイヤモンドと比べて2倍のカラットのラボグロウンダイヤモンドを手に入れることができるのです。

 

ラボグロウンダイヤモンド検証機器の開発も進行

ラボグロウンダイヤモンドを天然物と偽って販売する悪徳業者が横行することを防ぐため、検証機器の開発も進んでいます
天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドを見分けるための検証機器開発を行っているデビアス社は、GIAから販売ライセンスを取得して販売しています。これまで数億ポンドもの検証機器を、ダイヤモンド取引業者や宝飾業者に提供しています。裏を返せばそれだけの検証機器がなければ、見分けるのは極めて難しいということです。

 

希少なカラーも生成できるラボグロウンダイヤモンド

ラボグロウンダイヤモンドなら希少な色のダイヤモンドも生成できます。
ダイヤモンドは生成される土壌の質に応じて色が変化します。鉱山や地域ごとに色の特徴があり、天然ダイヤモンドとしては生成されにくい色もあります。
例えば、ブルーカラーのダイヤモンドはかなり希少で、1カラットあたり何千万円という値段がつきます。レッドカラーは1カラットあたり数億円となり、市場に出回ることすらほぼありません。さらに、紫外線を当てると色が変化して見えるカメレオンダイヤモンドは、より希少です。こうした高額のダイヤモンドは一部の大富豪が独占してしまうため、一般には目にする機会すらほとんどないのです。
しかし、ラボグロウンダイヤモンドなら通常自然界では滅多に目にすることがないカラーを含め、理論上ではさまざまな色のダイヤモンドを生み出すことが可能です。技術の進歩が進みさらに生産されるようになれば、珍しいカラーのダイヤモンドも、一般の人の手が届き得る価格になっていくことが期待されています。これもラボグロウンダイヤモンドの魅力の一つと言えるでしょう。

 

人工的に作られた色でさらにマーケットが広がる

工場で作られた自然界にはない色のダイヤモンド、ということに抵抗感がある人もいるかもしれません。しかし生花業界では、自然界には存在しない青いバラをサントリーが開発し、独自市場を形成しています。レインボーローズも同じく人工的に作られた色ではありますが、人気を博して新たなマーケットが構築されるほどになっています。
これはラボグロウンダイヤモンドも同様と言えるでしょう。天然と同じものを組成しながら、自然界にはない特徴を備えたダイヤモンドは、これからさらに人気が出ることでしょう。

 

ダイヤモンド市場拡大に貢献するラボグロウンダイヤモンド

ダイヤモンド市場拡大に貢献するラボグロウンダイヤモンド
ダイヤモンド市場の規模は日本だけでも5000億円ほど、世界では約800億ドル(約8兆8千億円)にもなると言われています。宝飾業界の中でも、ダイヤモンドはやはり頂点に君臨しています。ブライダル業界、ファッション業界にも大きな影響力を持つダイヤモンド市場の中で、近年合成ダイヤモンドの役割が増し加わっています。そこにラボグロウンダイヤモンド技術の進歩も重なり、世界の注目を集めています。アメリカではラボグロウンダイヤモンドの市場規模は2016年から2020年にかけての5年で、5倍ほどに拡大するとまで言われているのです。

 

大企業の参入が熱を帯びるラボグロウンダイヤモンド市場

世界的なトップ企業であるダイヤモンドファウンドリーも、ラボグロウンダイヤモンドに大きな可能性を感じています。
さらに、スワロフスキー社など大手企業も合成ダイヤモンドのブランドを立ち上げて参入し、盛り上がりを見せています。ラボグロウンダイヤモンドが、これからの宝飾業界拡大のカギを握っていると言っても、過言ではないのです。

 

ラボグロウンダイヤモンドの需要はますます伸びていく

質が高く価格が安いラボグロウンダイヤモンドですから、天然物だということにこだわらない若い世代を中心に人気が出てきています。
また、天然ダイヤモンドに関する利権をめぐる紛争問題解決の手立てとしても、ラボグロウンダイヤモンドは期待できます。社会への貢献を含め、ラボグロウンダイヤモンドの需要はますます伸びていくと考えられます。